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西鶴アーカイブ

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【堆積する もの〜カルマエフェクト〜】

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なんか事務所のいろんなものを捨ててたら、もー中毒みたいなってきて、捨てて捨てて捨てまくってる。いっこうに減らんのだけどね。
 
で、ふと思った。
 
ジンセーってまるでゴミを溜め込んでるみたいだわ。
 
 
古い古い企画書やら、昔の版下、仕事で使った資料、なんでか知らんが古い東京地図なんてのでてきたが、これは売れるかな?
 
大阪のFM局が開局したときのチラシ、乳首を摘んでる写真に「左にひねらんかいっ」ってコピーが入ってる。NHKのFMから左にチューニングのダイヤルを回すとこのFM局が聴ける。
 
このチラシみたときは「すげー」と鳥肌がたった。
 
「デザインって冒険じゃなくて確信なんだわ」ってワシはよく言うけど、このチラシから始まってるんだよなー。
 
今はきっとこれを炎上させずにプロデュースできる奴っていないだろうなあ。
 
あとかさばるのがデザイン系の本。
 
パソコンで仕事してない時代の写植の本やら版下のつくり方や指定の方法が解説してるやつ。
 
当時は印刷屋も、製版屋も、写植屋も、職人世界でワシみたいなチンピラが何か聞いても教えてなんかくれなくて、チッ!と舌打ちされて「出直してこい」みたいな雰囲気があった。こえー。
 
どこかから独立したわけではないワシは、誰にも聴くこできずにこれらの本を読んで独学するしかなかった。
 
パソコンで仕事するようになってからはWindowsでいかにデータをつくるかで試行錯誤してた中で参考になったのは、そもズバリの「Windows DTP」という季刊誌。
 
当時はまだWindowsでデータなんてできないって言われていたんで、この雑誌は穴のあくまで読んだ。
 
だもんだから今もワシはイラレ依存ではない。
これも創刊号から最終号までぜんぶ揃っている。
 
 
これらのゴミは、捨てがたいけど、もっていてもしかたないものばかりだ。
 
きっと頭の中も同じように、今ではたいして重要ではないゴミみたいな記憶が山のように堆積されてるんだろうということが体感でわかる。
 
けれど、これらのゴミはどれもワシを構成するカケラだ。
 
頭の中も、事務所も、ほんでもって「まち」も、んで「自然」も、こういった堆積物が層をなしていて、その上に今がある。
 
 
ワシは最近よく言われる「断捨離」って言葉が好きではない。
 
ゴミを捨てたり、整理したりするのはもちろん必要だが、中には勘違いして、それらの堆積物を不要なものとして処分し「さあ、新しい始まりです」というようなところが都合がいいよなと思うからだ。
 
人は過去に決別なんかできないし、また生まれ変わることもできない。
 
ひたすら清算しつづけることが、実は前に進んでいることでもある。
 
これは、カルマが無いことにはできないのと同じだ。
 
 
話はちょっと飛ぶが、「まち」もそうで、別に古い町並みを残そうとかは思わないのだが、まちの核はこの堆積物なのだということ。
 
たとえば、人を集めようと戦略的にまちをつくろうとする動きは最近のことで、もともとは人が集まっているところには当たり前のように市(市場の市ね)が出来上がっていった。
 
何かあるから人が集まるんではなくて、人が集まるから何かが出来る。これをワシは「出会い系まちづくり論」なんて言ってたが、人や商品や金や情報やそんな堆積物が核になるんだということ。
 
これが 無いと賑わいは持続せず、あると賑わいは持続する。それを人工的にコントロールしようとする人がやたら多くて、そこに先にあげた「勘違い断捨離」と同じ匂いを感じる。
 
彼らは、きっとまちなんか歩いたことがないから、そういう発想になるんだろう。
 
だからどこかのまちで「発明」されたことが正解だと右へならえで、一時のファッションの流行のように誰もが同じ服装をしていたりする。
 
 
これは、会社にも当てはまる。
 
何代にもわたって続いてきた老舗が持続しないのも「清算しつづけること」でなく、捨てて新しいものを 持ってくるから一時しのぎの賑わいしかクリエイトできないのではないかと、ワシは最近いろんな関わった事例から思っていて、それは確信に変わろうとしている。
 
人もそうだ。
 
生きながらに生まれ変わると言ってる人は、堆積したものを無いことにしようとする。だからどこか胡散臭く薄っぺらい印象がつきまとう。
 
そういう人は清算をしていない。たとえならゴミ出しをせずに家ごと引っ越しているに過ぎない。
 
そおいえば人の身体の進化の過程も、捨て去ってるいるのではないらしい。
 
進化の中で必要なくなったものは捨てるのではなく遺伝子の中にアーカイヴされるそうだ。それはいつでもそこからリスタートできる資産なのだろう。
 
たしかにオケツのあたりには尻尾名残の尾てい骨なんてものがある。