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西鶴アーカイブ

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【悪霊との付き合い方】

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セラピー系のお茶会みたいなものにその人は参加したらしい。10人ぐらいの参加者がいたっていってたかな?
 
参加した人はその主催者の知り合い、というか元クライアントみたいな人らで、それぞれに夫のDVとか、借金とか、なんやかんやのジンセーの修羅場を経験した人たち。
 
で、皆それなりの経験積んでるから、過去の辛いことも楽しく可笑しくお喋りできちゃうわけ。
 
で、そんな不幸話をネタに盛り上がっていたら、一人輪から外れて機嫌悪そうな人がいたらしい。
 
どうしたの?って主催の人が声をかけると、その人は関を切ったように(漢字合ってる?)喋り始めた。
 
「なんかさっきから足がビリビリする。皆んな文句ばっかり!悪い気が渦巻いている!私もDVとかで酷かったけど、もう次元があがってあなたたちとは違う世界にいる。だからなんか悪いものが乗り移りそうな気がする。ああ、足がビリビリしてる」
 
まあ、そんなようなことを言い始めたらしい。
 
ちょっと心理学系に詳しい人なら、これをスピリチュアルに結びつける人は居ないと思う。
 
これって典型的なトラウマ症状なわけで、この人は自分が次元があがったなんて言ってるけど、全然そんなことはなくて、そのことから「逃げてた」だけなのね。
 
傷は回復なんかしてなくて、パックリと内部で傷口を晒している。だから、話の輪に入れないし、傷口が痛みだす。
 
これは誰でもある症状なんだが、たぶんこの人はスピリチュアル系に「逃げた」んだろうな。だから、この足のビリビリとかを悪い気だとか、悪霊だとか、そういったカテゴライズで解釈しちゃう。
 
ヒトの意識っていうのはオモロイもので、簡単に自分の身体をほかの人や動物やモノに憑依させる。・・・というか、自分の意志ではなく勝手にしちゃう。
 
簡単な例をあげるとYouTubeで煙突のテッペンで自撮りしてる動画。
 
あれ見たら足がすげーザワザワする。自分は安全な場所にいるのはわかっているのに、高いとこから下みたときと同じようにザワザワする。
 
まーこれをyoutubeが憑依したと思う人はゼロと言っていいだろう。
 
これのもう少し凝ったやつが、VR。3Dのゴーグルつけなくても、リアルなゲームで自分の思うように動けるまで慣れたら、同じようにゲームのキャラが自分の身体のように感じることがある。
 
動画やゲーム以外でも、日常では車がそう。
 
ワシはまだ若葉マークだし、そんなに車の運転には慣れてないが、ある程度の慣れで無意識で車を操作できるようになってくると車は身体の延長として認識しだす。
 
スピードの出る車や、大きなトラックに乗ると自分の能力だと錯覚しちゃうってよく言われるが、同じ理屈。
 
んで、実際にこれを実験した人もいて、自分の目の前に精巧な義手を置いて、自分の手は黒い箱の中にいれちゃう。
 
んで、義手に針で刺激を与えると同時に箱の中の腕にも同じように刺激を与える。
 
すると、箱の中の手ではなく、義手のほうが自分の手だというリアルな感覚が生じるらしい。
 
事故とかで肢体を欠損した人が「無いはずなのに痛い」っていうのを聴くが、これも同じようなことらしい。
 
なんでこんなことが起きるのかというと、人は自分以外の世界を認識することで生きているからで、感覚器官で認識した情報を頭の中で再構築して世界をつくりだし、その中で生きてるから。
 
言葉にしたらややこしいけど、頭の中でルービックキューブで遊べるやん。あれと同じ。
 
もっと日常的なんはドラマ見ても、小説読んでも感情が震えるし、オリンピックでメダルとって自分のことじゃないのに嬉しいし。考えたら、なーんにも自分と関係ないのに。
 
そゆのを司る神経がミラーニューロンとか言うらしいが、その辺の解剖学的なことはとくに重要ではない。
 
よく知らんが、病気の一種で自分が存在しないんだと思ってしまうナントカ症候群(忘れた)っていうのがあるが、これは、憑依した先から自分に戻ってこれない状態である。
 
んで、このナントカ症候群も実は日常でも軽いものはよく起る。
 
もー使い古されたギャグになってるけど、ブルースリーの映画見たら映画館でるときは皆、アチョーって言ってる。アウトレイジみたら、映画館出るやつは皆ヤクザだ。
 
たまに変なやつは、千と千尋みてカオナシになって、あ、あ、あ、って言ってるやつもいる。
 
肝試しでなんか憑いちゃったっていうのも、同じこと。
 
こゆ現象は、誰でも起るんだが、その仕組みをわかっていればその現象に足をすくわれることは無い。映画のように、youtubeの高所動画のように、その現象を客観的に見ることができる。
 
仕組みを知る、あるいは考える、これはどんなことにも言える。ワシがよく言う「なぜを繰り返せばたいがいのことが解決する」ってやつだ。
 
冒頭の話で足がビリビリする人。結構重いものを背負ってるように思うが、問題はなんでもそうだが、逃げると追いかけてくる影みたいなもんだ。
 
世界が自分の頭の中で構築されているから、それはまさに自分の影になる。影は影だと認識してこそ影である。
 
影が悪霊だと思っているかぎり、そこから逃げることはできない。
 
トラウマになるような強烈な経験は、なんども思い出すがこれは心のセーフティネット。なんども思い出すことで乗り越える力を得ている。
 
先のお茶会で、皆で笑いながらジンセーの修羅場を話ていた人たちは、乗り越えた人たちだ。だから、悪霊に取り憑かれることも無い。むしろ悪霊にアドバイスできるんじゃね?
 
逃げずに向き合う。
抵抗するのではなく対話する。
あるいは交渉し、時には約定を結ぶ。
 
そうすれば悪霊は、力強い味方になってくれる。
 
ちなみに神さまは、こういうヒトの仕組みの外にあるもの。(種類によるけど)だから理解してどーなるというものではない。
基本的に理の番人みたいなもんだから、理を守るしかない。
2018/2/28