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西鶴アーカイブ

いろんなところに書いてきた文章のアーカイブ

自分の外へ~根源的な欲求~

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すげー高いビルの屋上でスケボーしてる動画をみたわけよ。
なんでそんな動画みてしまったのか?ワシ高いとこ苦手なのに。
 
人は、危険を避けようとする反面、危険に身を晒そうという欲求がある。
ワシが高いとこ苦手なのに、ほぼ無意識にこの動画見てるのも、同じこと。
 
ようするに「変な汁」が脳といわず全身に溢れ出る。これは危険を回避するために身体能力を一時的に加速させるターボみたいなものだ。「火事場の馬鹿力」の源泉みたいなもの。
 
動画みたら、目に見えるようにジワジワとこの変な汁がでてるのが解る。胃のあたりがジワジワして、脳はまるで遠足の前のウキウキ感、わくわく感に近い感じがする。ジッと座っていることはできない。身体をクネクネさせながら、あううううと声がでる。
 
あー、言葉で説明しなくてもユニバのハリーポッターの吊り下げられて乗るナントカつージェットコースターの気分といえば分かりやすいか。ワシは絶対乗らんけど。ガッキーとデートしてても乗らんけど。あ、いや乗るかも。
 
で、この変な汁はクセになる性質がある。正確に言うとこの汁にクセになる物質が含まれているというよりも、このターボブースト状態のテンションがクセになる気持ちよさいということらしいが、いずれにせよシャブ的なものだ。
 
危険な動画をアップするやつは、たんに金が欲しいとか有名になりたいとかもあるんだろうがクセになってるジャンキーだと思う。
 
んで、そんな動画を寝る前に見たもんだから変な夢を見た。
 
時は今から何十年後かの未来。グローバルベーシックインカムが実施されてから人はもう働くことイコール生きていくことという呪縛からは解放されていて、仕事の定義はいかに楽しいことをするかということになっていた。
 
ちなみ、この「仕事イコール楽しいこと」という定義はイノベーターなビジネスを展開する若い奴や、スピ系の人が今もよく言ってるが、ワシはこの定義は間に一個抜けてるよというのが持論だ。
 
「仕事をする→〇〇〇〇→楽しくなる」という方程式が正しい。2番目の〇〇という部分が何かは後で書く。
 
んで、夢の続き。
 
誰もが生きていく最低限のことは担保されているから好きなことを仕事にしていて、むしろ仕事というよりは肩書きといってもいいようになっていて、漁師の誰それさんとか、機械屋の誰々さんとか、ソフト屋の誰々さんとか、野菜育ててる誰々さんとか、なんか江戸時代の屋号的な感じになっている。
 
会社はコミュニテイとか、チームに近い感じで存在しているが、個人というマイクロ法人が共同体をそのプロジェクトごとにつくってるのが主になっていて、求人はプロジェクトの参加者募集がメインになってる。
 
そんな社会の中で最近増えてきているのが、命の危険があるスポーツや冒険。
宇宙や月や深海などで仕事をするプロジェクトは応募が殺到して抽選することも多く、また格闘技の大会が大人気だったりする。
 
そんな未来の夢の中でなぜかワシは朝まで生テレビみたいな討論番組にでていて熱く持論を語っていて、その持論つーのが、これはディストピアだというもの。
 
未来においてディストピアだと言うのも変な話なんだが、まあそのあたりは夢なんで矛盾はしている。
 
ワシは田原総一郎にこう言ってる。
 
今や自己実現とは、危険を冒すことになっていてこれは最低限の生活が担保されていることから来る快楽主義に等しい。デスマッチに近い格闘技や、100メートルもある高所でするパフォーマンス、そういったものが流行るのは人が命を落とすという危険を本能的に求めているからだ。これは社会の在り方としてオカシイのでないか?
 
じゃ、西鶴さんはベーシックインカムなんかやめちゃえってこと?
 
いや、そうじゃなくて、仕事は社会の構成要素への還元であるべきで、個人の楽しみや快楽のためにあるんじゃないってこと。今や汚れ仕事は全部機械やAIがやってるけれど、そういうのは本来人がやるべきなんだ。
 
んで、その討論番組で結局ワシは具体的な提案を言えずにボロクソ叩かれて目が醒める。
 
なーんか、正月から気分の悪い夢みたわ。
 
んで、コーシーのみながらボーとスタートレックのこと考えていた。
レプリケーター技術でなんでもぽよよーんとでてくるスタトレの世界。ここでは食い物も服もレプリケータで手に入れられるので世界からは貧困というものがなくなっている。お金はあるにはあるが、あまり意味がなくなっている。
 
そんな中、人は何をしてるのかというと、ピカード艦長の実家はレプリケートしない本物のワインをつくっていたり、ピカードの息子は命をかけた冒険家だったり、ピカード自身も宇宙艦隊という命をかけた職場で手に入れてもあまり意味のない給料で働いている。
 
ひとは名誉のために働く。これはアメリカ的な言い回しで、お国のために働いたご褒美は勲章だというパロディでもあるのだろうが、はて、名誉とは何かという点において考えてみるのも面白い。
 
楽しさや快楽。それは何か?名誉とは何か?
 
たぶんこれから数年間は、人の生きる動機というものが再定義される時代になるんだろうと思う。「君たちはどう生きるか?」という本が2017年にベストセラーになったが、2018年からは「君たちはなぜ生きるか」ということが問われるんじゃねーの?
(2018/1/4)