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西鶴アーカイブ

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ぜーきん

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(2014/12/12)
アドベのクリエィティブスイート。イラレフォトショップや、そういったクリエィティブ系のソフトがワンパッケージになったもの。それがCC、クラウドクリエィティブかな?になっていわゆる会員制になった。毎月会費を払うことでこのソフトを使い続けることができるというシステムだ。
 
買うのとちがって、月会費なんで事前に大金がいるのではなく分割ローンみたいなものだが、終わりというものはない。そのかわり、つねに最新のバージョンを使うことができる。
 
考えてみれば、このバカ高いソフトを買っても、バージョンは上がり続けるわけで、いつかは最新バージョンにしなければならないので会費制と変わらないのだが、このシステムは結構画期的な発想だそうだ。
 
 
海外では、おおっ!すげー発想だっ!というが、日本人は、けっこうこの会費システムは慣れている。だから画期的というよりは囲い込まれた感じがするので嫌な気持ちになるのだが、金を集める方からすると安定した金が入るのでやるべき仕事に集中できるというメリットが産まれる。
 
ヤクザ屋さんがこのシステムを好む。最近はあんまり聞かないが「みかじめ料」というのがそれだ。毎月会費を徴収して、その分何かにあったら守ってやるよという。法的に規制がかかり、それはオシボリや門松などのモノが間に入るなどの変遷があるが、基本は会費システムだ。
 
シャブの販売も、やめられないという意味での会費システムで、売人が持つ携帯電話は名前を聞かない会員制であるから名簿のような意味を持つ。売人がやめたり服役することになると、この携帯電話が高価でオークションにかけられ、それを入手した奴は顧客名簿を手に入れたも同然で、なにもしなくても電話で注文がはいることになる。
 
ただ、デメリットもある。いわば会員さえ集まれば売るための努力、つまり営業したり売る商品の質をあげたりする必要は薄れるから、いわゆる「なあなあ」になってくる。
 
以前に、修学旅行でおなじみの某老舗和菓子屋が、量を減らしていたとかで問題になったが、親の代から引き継いだ稼業で顧客がいるから売れて当たり前、ならちょっとづつ量を誤魔化せば、その差額がすげーじゃんと計算しちゃった若ボンの発想も解らんでもない。
 
 
会員システムでない場合は毎回客を集めるために売るものを開発したりする必要がある。商品の魅力イコール売上になるから、客になりそうな人の話を聞き、いかに魅力的で便利な商品を提供するかに必死になる。
 
結果、商品の質は向上する。商品を売る側からすれば、ギャンブルにも等しいが、買う側からすれば、資本主義の競争原理「神の見えらざる金タマ」によって安くて質の良いものを選択でき、気に入れば手に入れることができる。
 
海外では画期的、日本ではおなじみの会員制だが、たとえば小さな町の自転車屋さんなんかも、どやってかせいでるん?みたいなとこは、昔はその校区の学校の指定店みたいな感じになっていて、
ランドセルや制服と同じく安定した商売ができていた。
 
このあたりのことを詳しく研究した文献というのはあまり見ない。どこかで誰かが研究しているとは思うが、なぜか日本では当たり前のこのシステムは、海外の商品をつくって売るというモデルに侵食されてきてきたというよく解らん状況ではある。
 
しゃて、税金。
 
ちょっと前に、「働いたら罰金=所得税 、買ったら罰金=消費税、・・・・働かないと賞金=生活保護」というフレーズがネットのいたるところに貼り付けてあるということがあった。
 
まあ、これはアンチテーゼとしての質の悪いブラックジョークで、誰が書いたものか解らんけど、本人も本当にそうは思っていないはずだ。
 
そのあと、このことについてリアルである人と雑談してたら、本当にそう思ってたんでビックリした。その人は若いといっても、選挙権も持つ大人なんだが、そもそもの税金というものの仕組みがわかってないようなのだった。
 
学校でそゆのは最低教わるだろうし、いくら勉強が嫌いでも、なんとなく解ってくるもんだと思うが、なんで、そうなっちゃたんだろうと興味がわいた。
 
話をしていてこの人は税金は「とられるもんだ」と思い込んでいて、なぜ必要なのかまでは考えたこともないようなのだった。
 
大きな大きな川がある。この川を渡るのに誰かが橋をつけようとした。
 
金持ちはさっさと橋をつけ、通行料を徴収して投資分を回収する。
 
ちょっと頭のいいやつは、皆から投資金額を集めて、橋の通行料で儲けた金を分配する。
 
無料でこの橋を渡れるのは税金というものがあるからで、川があるから向こうへ渡れないという誰もが抱える問題を解決することで、物や人の流通が活性化し、便利にかつ経済的にも豊かになるという皆の要望を叶えるワリカンみたいなものだ。
 
けど、これが会費だということになるとニュアンスが微妙に違ってくる。会費のデメリットである、なあなあが発動する。ましてや、会員を辞めるやつは皆無だ。バカボンが先代が築き上げた顧客との信頼を食い物にして小金を稼いだように、あるいはとくに問題もないところに橋をかけることをし、特定の誰かの投資にこの金を使うかもしれない。
 
しゃて、しゃて、選挙。
あの人は、会費だと思っているのか?みかじめ料だと思っているのか?ワリカンだと思っているのか?誰かの代理みこしなのか?どこに橋をかけようというのか?バカボンなのか?
 
 
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