【昭和後期マインド〜ダイコンフィルムの「帰ってきたウルトラマン、マットアロー1号発信命令」】
Amazonプライムでダイコンフィルムの「帰ってきたウルトラマン、マットアロー1号発信命令」がアップされていた。
みていたら、なんか泣けてくる。いや、作品には泣ける要素は皆無だが、作品作ってるバックボーンを考えて泣けてくる。
青春してるなーって感じ。ワシはこの年代と同じ年なので自分とかぶる部分があるからなのだ。
知らん人に説明すると、1983年に開催されたSF大会にだされた8ミリフィルムによる28分の自主制作映画。シンウルトラマンが、アップされているのでその付録というか。おまけというか、でアップされたんだろう。
制作メンバーには、今も前線で活躍するそうそうたるメンバーが名前を連ねる。これは彼らが学生のときにつくった自主制作だ。
Amazonプライムの作品紹介には、若き才能が集結し、つくりあげた云々とかのテンプレな紹介文が踊るが、リアルタイムで知ってるワシとしてはちょっと違う。
ワシはこのへんの奴らを、ヲタクの意識高い系だと認識していて、ワシも彼らの影響をどこかで受けている。
当時はそういうのが流行だったのだ。今では大企業のリクルートもそう。仲間うちでわいわいと「社会人ごっこ」をしていたら、気がつけば本気になっていて、気がつけば会社つくっていて、気がつけばそれで飯をくっていた。そんな感じ。
ワシもそう。いつ、どこから本職になったのか自分でもよくわからない。
ダイコンフィルムは、数年後ガイナックスという会社になって「王立宇宙軍オネアミスの翼」というアニメをつくるが、バンダイから億という金を引っ張り出す。
このニュースを聞いてから、ワシは大きな案件の仕事は「ちょっと騙してくるか」と気合いを入れるようになった。たぶん、彼らもそんな感じだろう。
若い頃は、隙あれば大人の事情で回ってる商業界に自分のやるたいことをねじ込んでいく。つまり、人の金でとことん遊ぶ。やがて月日がたち大人の事情の商業界の中心に自分がいることになる。
それでも、若い頃に癖になってる隙あらばは抜けない。なんとか折り合いをつけながら生きているのだが、誰かがうまいぐあいに騙すことに成功したのをみて、「いや、俺も」とやっているいうちに、今に至る。
たとえれば、自分の顔の前に人参ぶらさげて走る馬みたいなもんだ。
常に満足していなくて、常にあきらめていて、常にできあがるたびに劣等感に満ちあふれ、ゆえにまた仕事している。