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西鶴アーカイブ

いろんなところに書いてきた文章のアーカイブ

生命マトリョーシカ

#医者ジプシー


知り合いが身体の調子がイマイチだということでいろんな医者に診てもらったんだが、原因がどうもよくわからんらしい。

 

ある医者には「ストレス」だと言われ、またある医者には「性格」だと言われる。何件かの「科」や何件かの医者医をジプシーし、結局は、更年期のホルモン薬のバランスがあってなかったというオチだったそうだ。

 

いや医者も毎日大量の患者をさばくわけで、それこそ医者自体のストレスはハンパないと思うが、さすがというか、医者はストレスかかえて病気にはならなくて元気に毎日大量の患者をさいばいているようだ。

 

ある医者に言わせると、「医者はそんなにストレスかからんよ。なんでかって言うとボクらは専門、患者は素人。診療方針のコントロールは僕らにある」からだそうだ。

 

つまり、この人のとってもストレスのとは「自分ではコントロールできない」ということらしい。

まあ、そういえばそうなのかなという気もする。ストレス、よく聞く言葉だが、これってそもそも何なのだろう?
これはまた長くなるんで別に書く。

 

#バイアスか事例か?

 

ワシの場合は、たいてい医者にかかると初見では「不摂生な生活習慣が原因やね」と言われる。一度もストレスからですねとは言われたことはない。

 

といってもワシは納得できない。

 

ウォーキングやスクワットや、食べるものや、睡眠時間などわりと気にしてコントロールしていると自分では思ってるからだ。

 

あるときフト気がついたんだが、たぶん職業を聞かれてパソコンでデザインしていますなんて言うから、不摂生だと言われるんだろうと思った。

 

「こいつは服装もサラリーマンには見えないし、ストレスかかる仕事じゃなくて昼ごろに起きて、夜はクライアントと居酒屋をはじごし、ゲームしたりyoutube見たり、そんな生活してるに違いない」と思いこまれるのだ。

 

典型的なステレオタイプに当てはめられてるわけである。(この元ネタは何だろう?)

 

最近は、そういう時は手帳を見せるようにしている。食べたもの、飲んだサプリ、たばこの本数、運動量まで記録された手帳。

 

それを見せてようやくワシの診断から「不摂生」という言葉が消える。

 

毎日押し寄せる多数の患者。その一人一人に病気の原因はあるんだろうが、そんなものを追跡するのは困難だ。だから今までの事例に当てはめるしかない。

 

運動不足、ストレス、肥満、食事、これらは事例の一番外側の括りだ。誰もがこのどれかにあてはまる。

 

しかし、これは「健康ではないから不健康ですね」という言葉と同じものだ。

 

#人の体の80%は細菌でできてる説

 

都市伝説のように語られることに猫のトキソプラズマというのがある。猫の多くが感染するトキトプラズマという細菌があるのだが、これが人間に感染するとその人間は猫が好きになり、女性は社交的になるらしい。

 

なんでかっていうと、そういう行動をとることでトキソプラズマは別の宿主へと感染して広まるかららしい。つまりトキソプラズマさんに憑依されて行動がかわってくるというのだ。

 

おもろい都市伝説かと思っていたが、実際にちゃんとした研究結果があるみたいだ。

 

冬虫夏草という菌類は、アリの体内で成長するのだが、この菌にとりつかれるとアリは群の仕事を放棄してとにかく高い木にのぼるようになるらしい。

 

高いところに歯にくらいついたアリの身体から菌類は芽をだし、胞子をばらまく。高いところに登るのは胞子をばらまきやすくするためだ。

 

つまり、この菌も宿主をコントロールしているらしい。

 

ほかにも、狂犬病やらナントカマイマイという寄生虫など宿主をコントロールするこの手の話はどこにでもある。

 

結構気味の悪い話だが、1998年には自閉症は腸内のマイクロバイオーター(外来微生物集団)が抗生物質で破壊され、破傷風菌が増殖することが原因であるという論文もでているらしい。

 

#不調の原因諸説

 

不調の原因が細菌という説は不気味だが、よく言われるのが遺伝子説。親から受け継いだそういう遺伝子があるんだよという奴だ。

 

ゲノム解析でこのへんはだいぶわかってきたらしいが、それにしても不思議なのは、遺伝子にそういう病気のコードが埋め込まれているのならなぜ進化の過程でなくならなかったのかということだ。

 

普通は、不具合は代を重ねるごとに淘汰されるはずなのだ。なのにそうはなっていない。これは詳しく調べたわけではないが、ワシは勝手に「アーカイブ」されているんではないかと考えている。

 

アーカイブ、つまり完全になくなるのではなく、とりあえず必要のないものは圧縮してしまっておきましょうという奴だ。これからなにかの拍子に地球の環境が変わったときにはその遺伝子が役にやつかもしれないとどこかにしまい込まれているのではないか?

 

それが何かの拍子に覚醒しちゃうという説だ。まあ、ワシは素人なのでこのへんはSFのネタぐらいのものでしかない。

 

前にあるスピリチュアル系の人がいってたのが、「病気は心がつくる」説。これは聞いていて笑いが起き、さらにだんだんと腹が立ってむかむかしてきた。

 

簡単にいうと、目がわるい人は「見たくないものがあるから」であり、耳が聞こえない人は「聞きたくないことがあるからであり」、胃が悪いひとは「消化しきれないことがあるからであり」だそうだ。

 

この身体の声を、その人のインナーチャイルドからの声としてテレパシーで受け取るそうで、まあ誰もが気がつくだろうがこのマジックのキモであるレトリックは、誰でもできるのである。

 

足が悪い人は「一歩が踏み出せない」、声がでない人は「表現したくない」といえる。すべてが自己責任というわけだ。

 

これは、昭和の根性物語と同じだ。優勝できないのは根性が足りない。夢を実現できないのは夢を願う心が弱いからだ。

 

ではここでいう心とは何かとスピリチュアルな人に聞くと、いっきに神様論へと突入しちゃう。「宇宙はあなたの想念でできているのよ、うふふ」

 

#情報環世界

 

身体の不調や病気の原因なんて結局は未だによくわかっていないというのが本当のところで医学はたしかにここ100年あまりで人の寿命を50年のばしたぐらい進歩してる。

 

が、これは治療として進歩しているのであって原因究明ということではない。

 

そこでオモロイのが先ほど書いた細菌説。

 

人間の体の9割が細菌らしい。今までは不要とされていた盲腸も実は大腸の細菌フローラの控え室だったりするのが解ってきた。で、このマイクロバイオームは、互いに協力関係で自分の住む環境、つまりワシらの身体に貢献しながら免疫細胞の承認をへて生息している。

 

この生態系が壊れことが病気の原因かどうかは解らないが、体調を崩すことは間違いない。抗生物質の連続投与は確実に体調に響く。赤ちゃんに蜂蜜が厳禁なのも同じ理屈だ。

 

余談だが、ワシ的には抗生物質を否定はしない。ひどいアトピーだったワシんとこのワンコ、ウォーフのときにいろいろ調べた結論として「まずは痒き崩した皮膚をなんとかしするが先決」だと思うからだ。なんでもそうだが、こういうのはプライオリティーの問題だ。

 

では、このマイクロバイオームたちは、はたして宿主のことを考えているのかというとそうではない。あくまでも自身の利己的なふるまいががっちりとパズルのように組み合わさって環境を維持することになっている。

 

環境というのはある種マトリョーシカみたいな入れ子構造になっている。人間の体内はマイクロバイオームの環境で、人間がすむ世界は、また地球という環境の世界だ。

 

虫には虫の、動物には動物の、魚には魚の環境世界があり、これも地球の環境世界の一部分である。

 

環境とは、世界を構成するこれらすべての(生物だけではなく、物質も含め)関係の総称だ。

 

んでここからはワシの中二病的なSF考察だが、これらの環境のまとまりに意識(心)が生じるんじゃないだろうか?だから、意識は観察することに特化していて身体そのものを意識的にコントロールできないんじゃないだろうか?

 

つまり身体は、自分のものではあるけれど共生している個々の細菌たちのものでもあるからだ。

 

どっかの哲学者が「アダムの罪はいろんなものに名前をつけたことにある」と言った。たしかに環境という観点からみたらすべてはグラデーションで、どこから自分なんてものは無い。

 

世界とは関係のことである。
そんなことを考えながら、ワシは今日も利己的に生きる。