turuya

西鶴アーカイブ

いろんなところに書いてきた文章のアーカイブ

丸くなる

f:id:hotkakogawa:20220913141417j:image

たこの心身問題を経営論として読んでみたら、また新たな発見がある。

 


どういうことかというと、たこの脳は足に8つ、本体に1つ存在していて、足はそれだけで本体の脳の判断をまたずにアクションできるという部分を組織の命令系統に当てはめて考えてみるわけ。

 


ここまででピンと来た人は多いと思うが、この前お亡くなりになった京セラの経営哲学の「アメーバー経営」がまさに「たこ」なのだ。

 


アメーバー経営を言い出した頃の稲森さんは、(2000年頃?)かなりラディカルでおもろかった。が、前にも書いたがお亡くなりになる前は、なんか小学校の道徳の教科書みたいなことをいっている。

 


ワシが思うにこれはアメーバ経営が陥るセクショナリズム※や、そこからの葛藤を自身が仏教にヒントを求めた結果なんだと思っているが、はやい話、「一周まわってスタート地点にもどってきた」ということだと思う。

 


セクショナリズムとは、たこの足が互いに競争をはじめ全体の統率がちれなくなること。アメーバー経営にも結局は中央指令的なヒラエルキーが必要じゃんということになってしまう。それを回避するには、人としての目的意識などがいるやんというのが稲森氏が仏教に答えを求めたということ。

 


この頃、稲森氏とたもとをわけた某会長は、別の答えを模索するが結局「3世代先の未来をかんがえれ」という進化論的をヒントにした未来型思考にまでしか到達できなかったが、これも「一周回った」ということである。

 


このへんをワシは稲森氏や某会長に突っ込みいれたかったが、まあ、しゃーない。

 


話がそれた。

 


話は変わるが、前野隆司という慶応の教授がいる。

 


この人の本「人はなぜ心をつくったか」を10年以上前に読んで、ワシはとてもびっくりした。

 


何を書いてあったのかすっかり忘れたが、これは覚えていないということではなく、ワシが考えていたことに似すぎていて、もう融合しちゃってるからだ。

 


もともと、人工知能か何かの研究してたんじゃなかったかな?人の記憶とかのメカニズムも調べていた。「自分なんてものは無い」なんてワシが言いそうなこと書いてる。

 


それ以来、この人の本は目に付けば読んでるんだが、最近はウェルビーイング(幸せって何?)の研究をしていて鎌倉だっけ?でまちづくり的なこともしていて、だからだろうか、最近だした「幸福論」は以前のラディカルさが感じられず、先にあげた稲森さんのような感じなのだ。読んでいてとても退屈なのだった。

 


たぶん、この人も一周回っちゃったんだろうと思う。

 


ワシは前野さんと同い年であるが、自分ではまだまだラディカルだと思っている。

 


だが、ワシのことを昔から知る数少ない人のひとりであるらりほうは、ワシとあうたびに「編集長はまるくなった」というから、まあそうなんかも知れない。

 


稲森さんはビジネスの塾で、前野さんはまちづくり系でと、一般の人と接しているので「難しいこといってもわかんねー」ということから戦略的に一周回ったんじゃないかと思う。

 


それは、丸くなったという言い方もできるが、あきらめたに近いんじゃないかと思う。(もしかしたらそれはワシの願望もはいっているのかもしれないけど)

 


人はひとりでは生きていけない。それは社会がつくりだした長所でもあるが短所でもある。

 


社会が誕生したので進化が足踏みしているのだというのはワシのラディカルな部分がささやく確信的理屈ではあるが、そんなこと炎上するからほとんど言わない。

 


たぶん、そんなこと気がついてる学者もやまほどいるだろうが、まあ言わないし、研究のしようもないので心の中にとどめたままだろう。今の世の中、炎上してくっていけるのはユーチューバーぐらいで、いちいち反論していたら研究なんかできないのだ。

 


いい人でないと世の中に認めてもらえない。これをヲタキングの岡田くんは「いい人戦略」といっている。

 


だから、稲森さんも前野さんもいい人になったんだろうと思う。

 


だが、本当は彼らは、議論したかったんじゃなかろうか?

まったく別の角度から、事象を解析する他人の目を欲していたんじゃないだろうか?それが年齢があがるとともに神様あつかいになり、誰にもわかるように言葉を選び、研究するから理解される哲学へと変わっていってしまった。

 


まあ、あったこともないんでワシの妄想でしかないが、そんな気がする。

 


そういや、稲森さんの道徳みたいな話でこんなんがある。

 


「相撲は土俵の真ん中でとりなはれ」