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西鶴アーカイブ

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夢のサルガッソー海域

(2015/11/4)

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その時その時で、考えているテーマに沿った出来事が起きる。
そう書くとなんか不思議なことを言ってるような感じだけど、これって単なる抜き出しで、誰にでも経験があること。

もーわしなんか、都会を歩いていたらシックスセンス=第6感が研ぎ澄まされて、かわいいおねーちゃん見つけるのがすげー早い。だから、都会へいって帰ってきたら、足よりも目が疲れていたりする。それだけよく眼球動かしてるというわけよ。
まるで獲物を狙うケモノのようだったりするわけよ。

で、この前、某有名なカフェに行ってきたんだけど、そこで今考えているテーマのヒントになるようなことがあった。

この店は、知り合いの息子がやってて、店のロケーションとおされな外観でちょっと有名になったとこ。

前にいったときは「知る人ぞ知る」って感じで、まだそんなに忙しい感じではなかったんだけど、テレビや雑誌やで紹介され、それを見た人がお店にいって、それをSNSで紹介するという最近では定番のコースで有名になっていった。

席はアベックや若いおねーちゃんでいっぱい。けど、店のシステムがなんか変わっていてドリンクだけだと店の席には座れなくて、テイクアウトのみだという。食べ物とかケーキを一緒に注文したら席に座れるらしい。まあ、客単価あげんと回転率も悪そうだしーって感じだが、案内された席が太陽がまぶしくてたまんねー。

窓にブラインドがかかっていたので、それを下げようとすると、さわらないでくださーいとお店の人がカウンターの中から声をかけてくる。じゃ、ブラインド下げてくれるのかというと、そうではなくて、まあ忙しいんだろうと自分でさげようとしたらようやく下げに来てくれた。

忙しくて手がまわらずすいませーんと言っていたが、顔にはじゃまくせーなと出てるしー。

特にサービスを期待してるわけでもないので腹は立たない。

この店のオーナーのことを多少知ってるので、実はこのお店が、お金儲けとか生活のためにやってるわけではないのをワシは知っている。

早い話、お金持ちが道楽でやってるからとくに客が来なくてもかまわないという背景がある。だから、態度は丁寧でもあくまで客は「招かざる客」なのだ。

普通だと客は減る。ローケーションが良くてもおいしいものが食べられても、ましてや彼女とのデートコースにもなるような店ならなおさら、「場の空気」は重要な要素だ。

が、店はいつも繁盛らしい。営業時間もすごく短くなってる。客に文句たれながらでも客はやってくる。

これって分数の話だ。分母が大きいと客はいくらでも集まる。よほど大きな炎上しないかぎり、いや炎上しても小さい店だと客数は減らない。

最近の飲食の成功モデルは、だいたいがこんな感じ。クーポンマガジンで人を集め、その勢いでマスの働きかけ、雑誌に載せてもらい、その勢いでテレビ取材が入り、その勢いで客を呼び込み、SNSで投稿されという一巡で客がくる。

もちろん、ロケーションとか店の外観とか店のストーリーとかのコンテンツ(演出)は必要だが、そのへんはもう完全なマニュアルが存在するし、それだけで飯をくってるコンサルも山のようにいる。

だが、お店の人が楽しそうではない。
こんなはずじゃなかったと背中で漫画の吹き出しのようにセリフが揺れているのが見える。

ワシはこんな店、こんな人をいつも見てきた。
これを夢のサルガッソー海域と言ってる。夢のいきつく場所、流れて溜まる澱み。加速のなれの果て。

これは誰もが陥るものだ。立ち上げた頃のわくわくした気持ちはいつか苦痛に変わり、「こんなはずじゃなかった、自分らしくない」という気持ちが日増しに大きくなってくる。

これを避けるために考え出された方便が、「クルド」とか「天命」とかいうやつで、店を次々と増やしていくモチベーションも、むしろこのサルガッソー海域から逃げるためのものではないかと思っている。

金を稼ぐということにゴールがないように、成功するということにゴールがないようにだ。

んじゃ、どうすんの?つーのは今度また書くにょー。