【サバイバーという肩書き】
最近のパワーワードとして「サバイバー」っていうのがある。
某芸能人の講演のチラシつくってて初めて知ったのが「ガンサバイバー」って言葉。ようするに「ガンを乗り越えた」って意味らしい。
他にも「鬱サバイバー」とか、「貧乏サバイバー」とか、「いじめサバイバー」とか、「離婚サバイバー」とか、色々あるみたいだ。
変わり種としては「クスリサバイバー」とか、「ヤクザサバイバー」とか、「アルコール依存症サバイバー」とかもあるが、この辺は肩書きよりもプロフィールよりになってくる。
で、このパワーワードは一種の肩書きに使える。
ワシの肩書き「編集長」、「変集長」、「変臭超」なんぞは、さっぱり意味がわからんが、これらのワードはいっぱつで意味がわかる。
この肩書きを名前の前につけるだけで、「何かの困難を乗り越えたんだなー」と、そこに深い意味がありそうに見える。たった一言で、プロフィールに重みが出る。誰もが「偉人伝」になれるというパワーワードだ。
これ「真っ只中にいる人」は、肩書きとして使っている人はいない。乗り越えてない人は名乗る資格はないのだ。肩書きとは、つまりそういうことなのだろう。
むかーし、ネットの黎明期の頃は、真っ只中の人同士が掲示板やメーリングリストで繋がって情報交換をしていたが、それはマネタイズしにくい。
ネットは集合知だなんていうのは昔の話で、今はネットはマーケティングなのだ。だから、最近は匿名よりも、名前を全面に出すようになっている。匿名だと「成果」を受け取れないからな。
今、真っ只中にいる人同士が情報交換をしているのは、
Amazonのレビュー。(これも最近は疑わしい)
Yahoo!ニュースのコメント欄。(これもTwitter化してきた)
YouTubeのコメント欄(これも探してようやく見つかるぐらい)
アスクドクターとかの医療情報サイト。(がっつり使うには課金が必要)
価格ドットコムのレヴュー。
2ちゃん(5ちゃん)ぐらいか?
SNS上でも、真っ只中の人の情報交換はあるんだろうが、いずれもこれらはマーケティングに飲み込まれていくだろうと思う。
これらの流れは、ブログにアファリエイトが実装されて、マネタイズできることから始まったものだと思う。
あなたの経験はお金になるんですよーと、ブログの人気競争が始まった。
誰でも人に教えることで「先生」になれる。
マスが大きいもの、ガンとか、鬱とか、そういうのは当然、アクセスがのびる。
そんな流れが、サバイバーという肩書きのルーツだろう。
最近は、企業なんかもこの流れに呑み込まれていて、会社の立ち上げストーリーなるものを作ろうとする。
例えば、「子供がアトピーで困っていて、色々調べてこれがイイと気がついて、それを他の人にも広めたいと起業した」みたいなストーリー。
ストーリーはだいたい決まってるから、主人公の名前をその企業の創業者にするだけのテンプレートでオケ。
ランサーズみたいなとこで安いイラスト屋に頼んで漫画にしてもらったり、コピーライターに小説風にしてもらったり、喋りが上手いなら商工会系の組織経由で講師してこづかいも稼げる。
また、このサバイバーを軸に多方面の展開も可能になる。
ある種の2足のわらじだ。車イスの営業マンとか、いいんじゃね?
※真っ只中には、「社会を変えていく力」が内包されている。サバイバーは、ヘタしたら「自己責任社会」を加速させる。
だからワシはサバイバーの人を見るとき、そこに注視するようにしてる。
つまり、自分目線か他者目線かということだ。
この辺は大手広告代理店ですら、ちゃんとコントーロールできていない。(つか、そもそも理解できないんだろうけど)